なぜ今、世界的な企業のCEOや起業家たちがサイケデリック体験について公然と語り始めているのか。テスラのイーロン・マスクやホールフーズのジョン・マッキーなど、名だたる経営者たちが自身のリーダーシップ成功にサイケデリックが与えた影響を認めている今、ビジネス界におけるサイケデリックの可能性について詳しく紹介します。
サイケデリックがビジネス界で注目される理由
近年、ハーバード・ビジネス・レビューをはじめとする権威あるビジネス誌でも取り上げられるほど、サイケデリックとビジネスの関係性が注目を集めています。これは単なる流行ではなく、実際の研究データに基づいた現象です。
最新の調査によると、LSDの使用率は一般人よりも管理職において急速に増加しており、多くの経営者がクリエイティビティの向上、問題解決能力の強化、そしてリーダーシップスキルの向上を実感していると報告されています。
サイケデリックには、LSD、シロシビン(マジックマッシュルーム)、DMT、MDMA、ペヨーテ、2C-B、サルビアなどが含まれ、これらの物質は使用者の思考プロセス、知覚、感覚を変化させ、しばしば幻覚を生み出すことで知られています。
著名経営者たちのサイケデリック体験談と影響
テスラCEO イーロン・マスク

一般的に、人々はサイケデリックに対してオープンであるべきだと思う
2021年のCodeConで、満席の会場を前にマスク氏がこう語ったとき、会場にはざわめきが広がりました。さらに彼は、Twitterで「熱力学の法則は決して克服できない、DMTを使っていない限りは」と投稿し、フォロワーたちを驚かせました。ウォール・ストリート・ジャーナルの詳細な調査では、マスク氏がLSD、コカイン、エクスタシー、マジックマッシュルームを使用していることが明らかになっており、これらの体験が彼の革新的な発想力と問題解決能力の源泉となっていることがうかがえます。
アップル創設者 スティーブ・ジョブズ

LSDを摂取することは深遠な体験であり、私の人生で最も重要なことの一つだった。LSDはコインの裏側があることを教えてくれる。その効果が切れた時には覚えていなくても、それを知っている。それは私にとって何が重要かという感覚を強化した——お金を稼ぐことではなく、素晴らしいものを創造し、歴史と人類の意識の流れにできる限り多くのものを戻すことが重要だった
1970年代のリード大学。長髪で裸足のジョブズが、親友のダニエル・コトケと共にオレンジサンシャインと呼ばれるLSDを手にしていました。コトケは当時を振り返り、「新しい視野が開かれた」「瞑想的な空間にいた」と語ります。二人はチャクラや気、クンダリーニに関する本を読みながら、ハイキングやローズガーデンでの散策を重ねました。この体験こそが、後にiPhoneという革命的なデバイスを生み出す創造性の礎となったのです。
ホールフーズ創設者 ジョン・マッキー

それは私にとって常にスピリチュアルなものだった
マッキー氏の目には、確信に満ちた光が宿っています。彼が語るブレスワークや意識変容体験は、単なる個人的な探求を超え、ホールフーズという企業帝国の精神的基盤となりました。現在70歳の彼が情熱を注ぐのは、カリフォルニアに設立予定のウェルネスクラブ「Love.Life」です。「シロシビンとMDMAの組み合わせはPTSDに対して非常に効果的だ」と語る彼の瞳には、サイケデリック療法への強い確信が映っています。スカでした。幻覚の中で現れた白い服と尖った帽子の謎めいた人物が、色とりどりの幾何学模様が踊る風景の向こうで彼に語りかけました。その瞬間、長年彼を縛り続けてきた不安の正体を理解したのです。
元ベンチャーキャピタリスト ペギー・ファン・デ・プラッシュ

この体制を自分で使って以来、人生でこれほどの安らぎ、自由、成功を経験したことはない。今は無意識の心に仕事をさせており、意識的にできたであろうよりもはるかに良く、速い解決策を思いつく
金融とテクノロジー業界で20年間エグゼクティブとして活躍してきたファン・デ・プラッシュ氏。表面的には成功していても、内面では深い充足感を得られずにいました。彼女がマジックマッシュルームと出会ったとき、それまでの人生が一変します。現在は「The Microdose Diet」として12週間の変革プログラムを開発し、多くのエグゼクティブの意識変容をサポートしています。
マイクロドージング:現代エグゼクティブの秘密兵器

朝のコーヒーを飲むように、ごく少量のサイケデリック物質を摂取する。これが「マイクロドージング」です。幻覚や強烈な体験を伴わず、むしろ微細な意識の調整によって日常のパフォーマンスを向上させる。まるで脳のチューニングのように。
シリコンバレーの某スタートアップでは、毎週金曜日に「クリエイティブデー」を設けているとのこと。表向きは自由な発想の日ですが、実際には多くの社員がマイクロドーシングを行っているのは公然の秘密とされています。
- 創造性の爆発的向上: 業界の常識を覆すアイデアが次々と生まれる
- レーザーフォーカス: 8時間の会議でも集中力が途切れない
- 感情知能の向上: チームメンバーの微細な感情の変化を敏感に察知
- ストレス免疫: プレッシャーを楽しみに変える精神的な余裕
- 直感的問題解決: データでは見えない解決策を瞬時に見抜く
また、あるベンチャーキャピタリストは匿名でこう語っています。「マイクロドーシングを始めてから、投資判断が根本的に変わった。数字の向こうにある『何か』が見えるようになったんです」
科学が証明するサイケデリックの力
脳科学の最前線では、驚くべき発見が続いています。サイケデリックは脳の「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる、自我の中心となる神経回路に作用します。この時、普段は厳格に区切られている脳の領域同士が新しいつながりを築き始めるのです。まるで長年閉ざされていた扉が一斉に開かれるように。
ハーバード・ビジネス・レビューが2024年に実施した調査は、経営者たちの間で静かに起きている革命を数字で裏付けました。LSDの使用率は一般人よりも管理職で急激に上昇しており、なんと79%もの人がマイクロドーシングによって生産性と創造性の向上を実感していたのです。
カリー・マリス博士(1993年ノーベル化学賞受賞)
もしLSDを摂取したことがなかったら、PCRを発明していたかはわからない。真剣に疑問に思う
現代のDNA検査やコロナウイルス検査に欠かせないPCR技術。この革命的な発明の背景には、ノーベル賞受賞者の衝撃的な告白がありました。マリス博士の言葉は、科学史におけるサイケデリックの隠れた役割を白日の下にさらしたのです。
こうした意識の変化は、具体的なビジネススキルの向上となって現れます。
- 固定概念の打破: 業界の常識を疑い、全く新しいアプローチを発見する
- 共感力の向上: 顧客や同僚の立場に立って、真のニーズを感じ取る
- 意思決定の質向上: 感情と論理のバランスを取った、より賢明な判断
- チームワークの改善: エゴを手放し、チーム全体の成功を最優先に考える
- ストレス耐性の強化: プレッシャーの中でも冷静さを保ち、的確な判断を下す
法的状況と注意事項
現在、世界各国でサイケデリックの法的地位は大きく変化しています。アメリカでは約24州で合法化や非犯罪化の動きが進んでおり、カリブ海、南米、ヨーロッパの多くの国々でも使用や販売が許可されています。
日本においては、現在もほとんどのサイケデリック物質が規制されているため、ビジネス目的での使用は法的リスクを伴います。しかし、以下の点は考慮すべきです。
- 海外でのリトリート参加: 合法な地域でのサイケデリック体験プログラムへの参加
- 代替手法の活用: 瞑想、呼吸法、感覚遮断タンクなど、類似の意識状態を作り出す方法
- 法制度の変化への準備: 将来的な法改正に備えた情報収集と準備
今後のビジネス界への展望

サイケデリックとビジネスの融合は、今後さらに加速すると予想されます。特に以下の分野での発展が期待されています。
- 人材開発とトレーニング
従来のリーダーシップ研修に代わる、より深い自己理解と他者理解を促進するプログラムの開発が進んでいます。これにより、より効果的な管理職育成が可能になると考えられています。 - 組織文化の変革
サイケデリック体験を通じて、企業文化の根本的な見直しと改善を図る取り組みが増加しており、より包括的で創造性豊かな職場環境の構築が期待されています。 - イノベーション促進
研究開発部門や商品企画部門において、従来の発想を超えた革新的なアイデア創出のツールとして活用される可能性が高まっています。
まとめ:サイケデリックはビジネスをどう変えるか?
サイケデリックとビジネスの関係性は、もはや無視できない現実となっています。世界的な経営者たちの体験談、科学的研究の進歩、そして法制度の変化により、これらの物質がビジネスパフォーマンス向上に与える潜在的な価値が明らかになっています。
ただし、使用にあたっては十分な安全対策と法的配慮が必要であり、専門家の指導の下で行うことが重要です。今後のビジネス界において、サイケデリックは創造性、リーダーシップ、そして組織変革の新たなツールとしてますます重要な位置を占めることになるでしょう。
DuRose, R. (2024, September 1). Will psychedelics propel your career? Harvard Business Review. https://hbr.org/2024/09/will-psychedelics-propel-your-career
本記事は情報提供のみを目的としており、医療アドバイスではありません。
精神的・身体的な問題を抱えている方は、必ず医療専門家にご相談ください。
また、日本国内でのサイケデリック物質の所持・使用は法律で禁止されています。