セットとセッティングSet and setting
サイケデリック体験の質を左右する2つの要素。「セット」は本人の心の状態や期待、「セッティング」は場所・同席者・音楽などの環境を指す。治療では、この両方を整えることが安全の基本とされる。
同じ物質を同じ量だけ使っても、体験の中身は人によって、また同じ人でもそのときによって大きく変わります。その違いを生む要因を、心の側と環境の側に分けて言い表したのが「セットとセッティング」です。1960年代にティモシー・リアリーらが広めた考え方で、現在の臨床試験でも基本原則になっています。
セット(心の状態)
気分、体調、そのときの不安や期待、人生の状況、そして「この体験で何に向き合いたいか」という意図(インテンション)などが含まれます。準備セッションで対話を重ねるのは、このセットを整えるためでもあります。
セッティング(環境)
部屋の広さや明るさ、静けさ、音楽、そしてそばにいるファシリテーターとの信頼関係などです。臨床試験では、落ち着いた居心地のよい部屋で、アイマスクをつけ、あらかじめ用意された音楽を聴きながら過ごすのが一般的です。
なぜ重要なのか
サイケデリックの作用下では、心が外からの影響を受けやすくなります。安全で信頼できる環境では深い内省につながる体験が、落ち着かない環境では強い恐怖や混乱につながることがあります。セットとセッティングを整えることは、効果を引き出すためだけでなく、リスクを下げるためにも欠かせません。