困難な体験(バッドトリップ)Challenging experience / Bad trip
強い不安や恐怖、混乱、悲しみなどを伴う体験。俗に「バッドトリップ」と呼ばれる。臨床の場では、適切な支えがあれば治療的な意味をもちうるものとして扱われ、「困難な体験」と呼ぶことが多い。
サイケデリックの体験は、いつも穏やかなものとは限りません。健康なボランティアを対象とした研究でも、高い用量では少なくない割合の人が強い不安を経験したと報告しています。
「悪い体験」とは限らない
自分の中の認めたくない部分や、長く避けてきた記憶や感情と向き合う体験は、その場ではとてもつらいものです。それでも、安全な環境で支えられながら通り抜けたとき、あとから「最も意味のある体験だった」と振り返られることがあります。そのため臨床では「バッドトリップ」ではなく「困難な体験」と呼び、無理に止めるより、安全を確保しながら一緒にとどまることを基本とします。
リスクを下げるために
事前のスクリーニングで、精神病の既往など体験に向かない条件をもつ人を除外すること。準備の段階で、困難な体験が起きうることとその向き合い方を共有しておくこと。体験中はトレーニングを受けたファシリテーターが見守ること。そして、体験後のインテグレーションで、何が起きたのかを整理すること。これらはすべて、困難な体験を安全に扱うための仕組みです。